第167章

甘い新婚気分の夫婦は、このとき子どもたちのことなどすっかり頭から抜け落ちていた。翌日には五城の城主たちと会う予定があり、そのあとは外遊の準備だ。となれば、アリシアがまた実験室に籠もって出てこないかどうかなど、わざわざ気にする者もいない。

――とはいえ、公爵も最低限の「正事」くらいは覚えている。なにしろ、それは娘に関わる話なのだから。

妻が行き先を決めたところで、公爵はふと思い出したように尋ねた。

「前に言っていたな。アリシアの同級生に、こちらの頼みを聞かせる手があると。あれはどういう話だ?」

その言葉に、グリスナはぱっと笑みを咲かせ、少し身を乗り出す。

「それがね、偶然も偶然なの。...

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